つきほのコメント集

ちょっと愉快な注釈。全編ネタバレ注意。横の数字は小説版のファイル数に対応しています。

第一幕

001-003「序章 伝説のささやかなる始まり」

001「悠々と猫が歩く。」
ヒルカニアの王都から西には野良猫が多いようです。今後も猫の描写がちょこちょこ出てきます。
001「広場の舗装されていない一角」
どの集落にも広場的なものは大概ありますが、舗装はされていないことが多いです。アハルは人がよく通るところにだけ、石畳がひいてあります。後は砂と土。
001「西洋人」
西洋人っていっても、いろいろあるよね! アイシャ親子のイメージはいわゆるゲルマン系(白人)です。
001「イゼットのお嫁さんになってあげてもいいのよ」
アイシャはイゼットが大好きです。
001「……彼は、しかし顔のこわばりを隠そうと、やわらかい笑顔をつくる」
「体質」のこともあり、イゼットはなるべく感情を表に出さないようにしてきました。笑顔でごまかすのがすでに癖になっています。
001「母にも娘にも、しなければいけない家仕事は多いのである。」
炊事、洗濯、掃除、裁縫、etc……。ヒルカニアやペルグなどでは、家の仕事は女の仕事です。アイシャも花嫁修業のつもりで、一丁前にお母さんのお手伝いをしています。
001「代書屋」
文字が書けない人にかわって、手紙や書類の代筆をする仕事。本来高い金を取られますが、イゼットは路銀さえ集まればいいので、料金を安めに設定しています。イゼットは「代読」の方もやっています。
001「次には嫁さんの一人くらい」
イゼットは、ヒルカニアではすでにお嫁さんの一人や二人いていい年齢です。ただ、従士は未婚が望ましいといわれています(結婚を禁止されてはいません)。
001「赤を基調として、細かな装飾があしらわれた布」
クルク族の衣装は、氏族によって色合いが異なります。炎の精霊を信仰するアグニヤは、赤色ベースです。
002「修行の旅は三分の一にも達していない。」
この時点で、十五か所中三か所クリアしているので、五分の一ですね。なっがーい。
002「決心が揺らぎそう」
やっぱり前途のことを思うと怖い。恐怖や迷いと戦いながら、彼は聖都を目指しています。
002「護身用の短剣」
短剣ぶん回すくらいなら、体が痛かろうがめまいがしようが気合でどうにかするイゼットです。そういう意味では鋼の精神の持ち主。
002「……『お坊ちゃん』の態度ではない。」
貴族の子弟として暮らした時間よりも、下野して暮らした期間の方が長いので、どっちかというと戦士です。
002「このていどの石なら大けがもしませんし」
当たり所が悪ければ大けがします。
002「『対話』の方法」
裁判の代わりに決闘したり、話し合いが決裂しそうなときに決闘したり……とにかくクルク族のほとんどの氏族は、よく決闘をします。
002「素手で獅子を狩ってる」
ルーのお父さん。
002「男の子に間違われるのなんて日常茶飯事なので」
危険を回避するため、あえて男装していた面もあります。外套の下の衣装は女性のものなので、それ見れば一発でホントの性別がわかります。ちなみに胸は小さめ。
003「ルーは、無邪気に尋ねてくる。」
すでにルーは、イゼットが何かしらの傷病を抱えているのではないか、と予想しています。
003「繋がった感じはなくて、一個ずつ別々」
ローマ字のブロック体や漢字、ひらがなをイメージしてください。
003「ファルーサ文字」
アレフバーのようなもの。詳しくは検索してね! イメージしづらければ、アラビア語を思い浮かべてください。右から左に書きます。
003「多分ほかの人の手は借りない方が」
自分一人でやらなきゃ! と思い詰めています。一人でできる=偉い。こういう方程式作っちゃうときあるよね。
003「ジャワーフの娘」
クルク族は名前の前に父親の名をつけます。これは姓のかわりで、昔は曾祖父までくっつけていたらしい。
自分が通り名を名乗るときは、姓がわりの親の名も通り名に統一します。逆に本名を名乗るときは、親も本名にします。本名名乗ると、まるで呪文。
003「通り名は……」
ふつうはこんな前置きをしません。自分の素性を知っていて、かつクルク族でない人なので、ルーは気をつかってこういう名乗り方をしました。
003「その意味に気づくことはないだろう」
イゼットがこの時使った作法は、ロクサーナ聖教の上位の聖職者のものです。

004-009「第一章 石と月光の修行場」

004「全部は読めないけど、大意はつかめる」
イゼットはさらっと言ってますが、結構すごいことです。ロゼッタストーンを読めるくらいすごいことです。
004「まどろっこしい表現」
もっとはっきり言って!
004「農耕民の偏見」
クルク族はファルーサ文字の読み書きもできない野蛮な民族、というような悪口を言う人もかなりいます。もちろん、読み書きが余裕でできるクルク族もいます。
004「壁の先からわずかに風が流れている」
どこかにほんの少し隙間があったみたいです。この二人じゃなきゃ気づけないと思います。
004「古典的な罠ほど恐ろしい」
落とし穴とか、意外とひっかかる。
004「前の修行場で三度地下に落ちた」
どろどろのぐちゃぐちゃになりながら壁を駆けのぼり、事なきを得ました(?)
004「自分が最後にこんなふうに笑ったのは……」
素直な感情表現ができていない自覚はあります。もともとイゼットは、言いたいことを言わずに溜めこむ癖があるのです。
004「鳥を石で落とすのに比べたら」
動体視力は卓球のオリンピック選手並み。
004「彼女の身体能力については追及しない」
知らない方が幸せなこともあるんだよ……。
005「出る杭を打て」
「出る杭は打たれる」という言葉がありますが、一切関係ありません。
005「下がどうなっているのかは、まったくわからない。」
むしろ知りたくない。感触としては、つり橋を渡っているあの感じらしいです。
005「イゼットの槍」
いわゆる短槍の部類です。屋内でも振りまわしやすいです。
005「ルーはその様子を興味深く観察……」
「武器の扱いに慣れてるな……」
005「足におもりのついたような感覚」
自身の不安が体に影響を及ぼしています。
005「打ち明けるにしても、今ではない」
流れで自分の素性もバラさなきゃいけなくなる可能性が高いと考え、慎重になっています。
005「ふしぎそうに見ていた」
戦い慣れていそうなわりに、ふらふらするのを不審に思っています。
005「言葉をなくすほど急な上り坂」
角度はベタ踏み坂くらい。徒歩で登るのとかふつうは無理です。
005「母さんは、……なんなく押し込められる」
比較対象がぶっ飛びすぎです。
005「槍を……上方に投げる」
なんという神業。イゼットも相当力持ちです。
005「この急斜面を下る」
下手したら死にます。
006「目には見えないはずの存在」
精霊初登場。イゼットには彼らの姿が見えています。
006「ここまでしかできない」
精霊との交渉および術は、周囲の環境に影響を受けます。光源のほとんどない暗闇で光を作り出そうとしても、小さな光しか作れません。
006「 げき
巫女の男性版。 巫覡 シャマン はそのまま、「シャーマン」と同義です。日本語では「ふげき」と読みます。
006「成人になるための儀式の内容」
物騒じゃない儀式もあります。『マーレファ奇譚』で出てきたアリド氏族の場合、山の獣を一人で狩って解体できたら成人と見なされます。解体した肉は、一部を山の精霊に捧げ、残りをみんなで美味しく頂きます。
006「クルク族談義」
イゼットはこの段階で通り名のことも聞いていますが、ルーの本名はまだ知らないままです。
006「石を人の形に固めたようなもの」
要はゴーレム。
007「至極当然の悪態をついた後、顔をしかめた。」
ルーの卑屈な部分がちょっと出ています。
007「だから、大丈夫」
異常のもとは感情なので、感情がない石の番人とは普通に戦えるのです。
007「ガリっ、という……落ちた」
繰り返すようですが、イゼットは力持ちです。
007「相棒」
特注です。そしてものすごい頑丈。従士候補時代から愛用しています。
007「銀の飾り」
首、腕、耳などあちこちについています。かなり重いのですが、そこはルーなのでまったく問題ありません。
007「白い娘」
本名の由来。
008「これ以上攻勢には出ない。」
イゼットは慎重派です。
008「なにかを悩むようなそぶり」
今まで読んできた詩文が、なにか一つの事物を書いているのだと、気づきはじめています。
008「手を打ちあわせる」
元気にハイタッチです。実際ペルシャでハイタッチという行為があったかはわかりませんが、演出上遠慮なく使っていきます。
009「食料と水が手に入れば、屋根がなくても構わなかった」
ワイルドです。
009「なにかを警戒するような目つき」
宿屋のおじさんは、ルーが女の子だと気づいていました。年頃の男女が同じ部屋に泊まるとなれば、勘ぐるのもしかたがありません。
009「夜が天に黒い翼を悠々と広げた頃」
ヒルカニア特有の詩的な表現。「夜の帳が下りた」的な意味です。
009「大きな礼拝堂」
シャラクの大礼拝堂は、世界一の大きさだと言われています。真偽のほどは不明ですが、それだけ立派だということです。
009「ほとんどが参拝者や巡礼者」
宗教闘争以降は、一般人の立ち入りが多少制限されています。『夜明けに捧ぐ鎮魂歌』の頃までは、フリーダムで、一般の大都市のようなお店もたくさんありました。
009「ちくりと胸が痛む。」
嘘ではないけど真実でもない。
009「顔をくしゃくしゃにして」
ルーにはこういう気安いお友達がほとんどいませんでしたので、喜んでいます。
009「馬を二頭、譲ってくれる」
どこかの偉い人でもない限り、滅多にないことです。
009「馬に乗る訓練」
この後ルーは、ものの二日ほどで乗馬の基礎をマスターします。ただし、幼少期からずっと馬に親しんできたイゼットの腕前には及びません。

010-022「第二章 お互いの秘め事」

010「炎の精霊の首飾り」
クルク族が身に着けている銀細工には、信仰の対象が装飾として使われていることが多いです。アグニヤの場合、火の模様や炎の精霊。
010「いざって時の資金」
銀細工を売り払うのは、お金に困った時の最終手段です。
010「結納金」
クルク族や遊牧民の間では一般的な慣習です。嫁入り道具と一緒に、結納金代わりに銀細工を持ってよその家に嫁ぎます。
010「長年の相棒」
イゼットが相棒と呼ぶのはこの槍だけです。――今の時点では。
010「小さな池のような穴」
オアシスが形成されるほどではなかったようです。
010「宗教闘争」
聖女派と祭司長派の争いのことです。表面上、聖女派の勝利で終結していますが、まだまだ信者や聖教関係者同士での対立が続いています。
010「おまえさんが何を信仰しとるかは知らんが」
隊長さんは少しごまかしています。本当はイゼットの言動から、彼が聖教の聖女派であると気づいていたのです。
010「クルク族だから」
クルク族はいろんな意味で厄介者扱いをされます。聖教の信者にとっては第三勢力のようなもので、より不穏な存在です。
010「元は同じ精霊信仰」
身分階級の有無と、聖女を崇めるか崇めないか。この二点が、旧来の精霊信仰とロクサーナ聖教の違いです。
010「右腕を強い痛みと痺れが駆け抜ける」
都市にはイライラしてる人やテンションが上がっている人が多いので、この時点でイゼットはその影響を受けてしまっています。
011「香辛料と肉の匂い」
ケバブでも焼いているのでしょう。
011「イゼットが知るもの」
イゼットの故郷アフワーズの周辺や、彼が長くいた聖都周辺は、いろいろと厳格な地域でした。そのため、マグナエも地味なものが多かったのです。
011「丸まった猫が刺繍された旗の下」
ここにも猫が……。
012「丸い屋根」
なんとなくモスクっぽいものをイメージしていただければと。
012「その場で右腕を押さえた」
激しい口論の前触れです。
012「公共の場所では滅多に使われない悪口雑言」
「クソ」をもっとひどく汚くした感じです。作者の語彙力ではこれ以上の表現ができないようです。
012「涙も出ないくらい……」
自分がアイセルの隣にいないこともこの争いの遠因なので、イゼットとしては辛いところです。今まで何度も口論や喧嘩の場に遭遇しては、一人で苦痛に耐えていました。
013「悪霊に憑かれてるとか言われてみろや」
精霊信仰においては、悪霊はとても恐ろしいものです。悪霊に憑かれているということに『されてしまった』場合、監禁されたり、最悪殺されたりします。
013「かつて得られなかったぬくもり」
イゼットと父の関係が冷え込んでいることです。お父さんに愛情を注いでもらった記憶が、彼にはまったくありません。
013「最初に診てくれた人」
バリスです。この話の冒頭、回想に出てきた二人のうちの片方です。ちなみにもう一人はメフルザード。
013「鯖のサンドイッチ」
ペルグ名物サバサンド。
013「尋ね歩きはする」
ルーと出会う以前、イゼットは、町に立ち寄るたびにその地の医者を訪ねていました。そして匙を投げられ続けていました。
013「自分にとっても腹が立っています」
このあたりから、ルーのイゼットに対する感情が少しずつ変わってきます。より友情らしきものが強くなっている感じですね。
013「何回か落としたことがあって」
詩文を刻む石板は、とても丈夫にできています。クルク族の成人男性が殴っても割れないらしいです。
013「思わせぶりな表情での問いかけ」
髪を隠していない女性=遠方の人間かクルク族、という認識です。
013「本来男が買うものではない」
店員がヒルカニア人だったらドン引きされるか通報されるかしていました。
013「前の職場」
従士は少々特殊な立場です。聖女(と聖女候補)は基本的に召使的な人がいないので、身のまわりの世話は従士に一任されています。アイセルが幼かったために、イゼットは着がえから何から、彼女と一緒にやっていました。
014「パン」
平べったい円形のパンです。
014「旅人の姿に気づくと、手を振って……叫んだ。」
ヒルカニアの皆さんは、旅人に優しいのです。
014「小さな茶器を突きだした。中身はからだった。」
茶ぁしばいてくまでは帰さねえぜ。
014「自分たちは馬鹿正直すぎた」
キールスバードを素通りして、修行場に直行すれば止められることもなかったのです。しかしまあ、喫茶店にひっぱりこまれてしまったのでしかたがない。
015「 三月 ホルダード
私たちの暦でいうところの、5月下旬から6月下旬までです。
016「州総督」
日本でいうところの県知事です(ざっくり)。
016「同じところを回らされた」
イゼットもルーも方向音痴ではありません。順当に行っていれば奥に進んでいるはずが、「幻想」の効果で強制的に入口に戻されていました。
016「この木を蹴ってみて」
軽く叩いて「幻想」が揺らいだので、より大きな衝撃を与えれば道が開けるのではないか、と考えたのです。しかし根拠が曖昧なため、イゼットは説明できませんでした。
017「狼のような獣」
『マーレファ奇譚』に出てくる森の番犬とだいたい同じ存在です。
017「色々言われました」
両親どちらかが浮気をしただの、実の子どもじゃないだの、キツイことをささやく輩がいました。実際は隔世遺伝とかそういうオチです。
017「誰かに見られてる」
ちょっと前に出てきた不審者が、まだ追いかけてきています。
018「蔦をにぎったまま……着地する。」
ター○ンの女の子バージョンらしいです。蔦はかなり丈夫なものを選んでいます。
018「簡単に言うな。」
イゼットの男の子らしい部分がぽろっと出ています。
018「文字通り、投げた。」
前項といい、この回のイゼットは珍しく荒っぽいです。
018「先刻、ルーがやったのと同じ芸当」
カマルを助けに向かっていたときのことです。
018「あんたがそんなことするなんて思ってなかった!」
実は作者も思っていませんでした。
018「投げてもいいけど」
カマル少年も意外と肝が太いです。
018「その習いを堂々とおかしている二人」
ルーはヒルカニアの風習・慣習とは無縁なので気にしていません。イゼットも、母が比較的フリーダムな一族の人のため、ヒルカニアの慣習を厳格に守ろうとは思っていないようです。
019「雨水だけを頼りに命をつないで……」
サミーラさんに限らず、このあたりの人々はサバイバル能力が高いです。自然環境が厳しいため、日々の生活の中で心身ともに鍛えられるためだと思われます。
019「ルーひとりを……残していくのが嫌」
イゼットはルーの腕を信用している一方で、一人の女の子として見て心配しています。
020「ルーは、ぎりぎり穂先を両手で挟んでいる」
いくら頑丈でも棒一本で18歳の男子一人を支えるのは至難の業。他の同族より非力ながら、ルーの腕力と握力も常人離れしています。
020「なんだかやりづらい」
幼少期に冷たくされて育った影響で、未だに感謝されることに慣れないみたいです。
020「精霊は、この森にはほとんどいない」
自然の理から外れた力(=呪物の力)が満ちている場所に、精霊は近寄りたがりません。
020「ルーだけが感じ入ったように呟いた」
修行場で非常識なものにばっかり遭遇しているので、ちょっとやそっとじゃ動じません。
021「頭の中を揺さぶられるような気分の悪さ」
修行場の入口と繋がる「抜け道」は、実は空間がかなり歪んでいます。人を入口に飛ばす際に歪みが強くなるため、人は気分の悪さや頭痛を覚えることがしばしばあります。『石と月光の修行場』のときも空間の歪みは起きていたのですが、『木々と幻想の修行場』に比べて弱かったので、二人とも気づかなかったのです。
021「奇妙な光景」
『夜明けに捧ぐ鎮魂歌』の彼が、数百年を過ごした場所です。
021「昔から……よく来る」
ルーの先輩たちは揉め事を避けるため町に立ち寄りませんでしたが、コソコソ森へ向かう姿を店主さんやほかの人たちにちらほら目撃されていました。
021「ジャワーフ」
ルーのお父さんは、揉め事になるとかあんまり気にせず、普通に森への行き方を店主さんに尋ねました。若い頃からマイペースなお方でした。
021「父さんは、……踏破したんだ」
ルーがまた自分のダメっぷり(と、思いこんでいる)を気にしています。
021「今日みたいなこと」
ルーと出会う以前、イゼットは旅の中でちょいちょい無茶をして危ないことになっていました。
021「危ない目」
しかも、危ないどころか死にかけたことさえあります。
021「贖罪のつもりなのか。」
アイセルを厳しい立場に追い込んだことと、月輪の石を壊した(勝手に割れた)ことを言っています。
021「できそこない」
実際に『アグニヤのできそこない』と呼ばれていたことを持ち出して、思いっきり卑屈になっています。このワードが本編で出てくるのはここが最初です。
022「銀色の輪」
月、特に満月を表しています。
022「聞いているだけで心が弾む」
ルーはすっごく好奇心旺盛です。自分の頭じゃ理解できない話も、興味があればとりあえず聞いちゃいます。……ここでの話はきちんと理解していることを、彼女の名誉のために補足しておきます。
022「部屋」
いわゆる玄関はなく、入ってすぐお部屋という感じです。
022「きっかけ」
ぶっちゃけると、『夜明けに捧ぐ鎮魂歌』のギュライ様とカダルおじいちゃんの対立が全ての始まりだと思われます。
022「イゼットと同じくらい」
正確にはイゼットと同い年の18歳です。
022「想像しただけで逃げたくなった」
偉い人にはなりたくない。
022「権力の象徴」
従士が隣にいることで、「強い戦士が私を守ってくれる」ことと「この強い戦士を従えるだけの力がある」ことをアピールする効果があるといわれています。従士的には眉をひそめたくなる話ですが。
022「生死不明」
目の前にいます。
022「……従士が囮になった」
だいたいあってる。
022「ふしぎな形の菓子」
ここでは説明を省いていますが、バーミエというチュロスによく似たお菓子です。すごく甘いらしいです。

023-029「第三章 狩人たちの誇り」

023「……半日も行けば、愛でるものもない……」
森の先に荒野が広がる。その極端さがペルグ王国の自然の特徴です。
023「依頼人の老婆」
いわゆる平民のおばあさんです。本来紙を買えるほど豊かではないのですが、ちょっと裕福な友人に譲ってもらったようです。
023「西方の帝国ロムリカ」
モデルはお察し。
023「異国情緒あふれる街並み」
国境の町であることから、西洋風の建築物も多いようです。
023「傭兵の仕事用の身分証」
ペルグ国境付近は、傭兵たちの活動が盛んな時期がありました。彼らは仕事がしやすいよう、組合組織を作り、その組合の管轄地域で通用する身分証を作ったのです。兵士さんがそのことを知っていたのは、この地域に配属されて長かったからでしょう。
024「代わり映えのしない道」
陸続きですから、国境を越えても風景はそう変わりません。島国の民には実感しにくいところです。
024「上まで登ったら楽しそうだ。」
アンダは自然のアクティビティ的なものが大好きです。
024「しばらくその場をうろうろしていた」
珍しく落ち着かない主人公。
024「嘘だと言って……」
残念なことに真実です。
024「短い間、意識が飛んだ。」
それだけで済んだことが奇跡です。
024「途中で亡くなった人もいるらしい」
いるらしいどころか、二年に一人は修行中に死ぬ若者がいます。
024「なにかの動物」
イゼットはすぐにぴんと来ていませんが、象です。
025「片牙の鳥」
カクヨム版のサブタイトルについて。片牙=片方の牙は、上記の象と合わせて氏族の象徴。鳥はアンダのことです。氏族の象徴(のモデル)について詳しく知りたい方は「ガネーシャ」でググってみてください。
025「アグニヤのできそこない」
いよいよこの単語が出てきました。いうまでもなくルーのことですが、ここまではっきり口にする人はなかなかいません。
025「まだ、果たしていない約束」
一つ目のせりふはアイセルのもの。
二つ目は、序章のルーの言葉です。
025「ふざけるな。」
イゼットが本編で初めてキレた瞬間です。
025「誠実さに欠けているように思えるのは、なぜなのか」
デミルが、全然誠実ではない男だからでしょう。
025「戦争屋」
本作では、戦争に好んで参加する傭兵のことを指します。いわゆる蔑称ですが、戦い大好きデミルお兄さんは、この名が気に入っています。
026「白き炎の娘」
カクヨム版サブタイトルについて。白はルーの本名。炎はアグニヤ氏族のこと。要は、ルーのことです。
026「ご先祖が外の人間の血を入れたことがある」
クルク族は基本、氏族ごとにまとまって生活をします。が、出稼ぎのようによその国へ出ていく人がいて、ルーの「ご先祖」もそうでした。「ご先祖」は出先の国で異民族の伴侶と出会い、集落に連れて帰りました。そのときもひと悶着あったとかなかったとか。
026「そのまま泥塗りたくっちまえば……」
お父さんなりの優しさでした。ルーの場合、顔のパーツの配置はお母さん譲りで、目と眉はお父さん譲りです。
026「ダメダメだったんです。」
手加減ありの演武とはいえ、これまでの子たちは「それなり」の戦いをしていたようです。ルーはあと一歩のところでためらうことが重なり、戦いになりませんでした。
026「集落は……混乱しました」
十の奉納に失敗すると災いが降りかかる、という言い伝えは、彼らにとっては迷信ではありません。本気で信じて、みんな対策に奔走しました。ちなみにその年の晩夏、彼らはヒルカニアと小競り合いになりました。幸い大きな戦にはなりませんでした。
026「挽回できる最後の機会」
成人とすら認められなかったら、集落を追い出されてしまいます。
026「そろそろこの旅やめたいな……」「結構、助けられてる」
イゼットは常に使命感と恐怖のはざまで揺らいでいます。穏やかなように見えて、精神状態は危ないです。そんな彼にとっても、ルーが同行してくれたことは救いだったのです。
027「太い紐でまとめられた黒髪」
このあたりでは、毛髪やひげを長く伸ばす男性は結構います。
027「最後のひとかけ」
デミルは一口がでかいです。
027「恍惚と呟いて」
デミルの戦闘狂としての一面がのぞいています。
027「実際のところ『坊ちゃん』」
戦争屋は観察眼が非常に優れています。ささいなしぐさから、簡単に人の素性まで予測できてしまうのです。
027「祭司になるために俗世との縁を切る」
我々の文化に当てはめると「出家」です。イゼットは聖院に入った時点で、お家の相続権を放棄したことになっています。ただし、戸籍はそのままです。
027「ヒルカニアで一、二を争う超名門」
超大物で歴史のある貴族です。
027「ひたすら謝ることにした」
ルーが委縮してしまうことを避けるため黙っていたのですが、裏目に出ました。
028「今まではあまりぴんとこなかった」
クルク族には偉い人はいても、長老や巫女などです。貴族やお金持ちはいません。ルーが実感を持てなかったのも、当然のことです。
028「古い傷なのか、今の痛みなのか」
あまり良い家庭環境でなかったことが、また暗示されています。
028「おおざっぱに言うと」
ヒルカニアでは、女性や貧者を保護するのは貴族と富裕層の義務だといわれています(実態がどうかはともかくとして)。
028「何十年か前の戦争」
当時、ペルグはまだ独立した王国でした。ただ、かなり国力が弱まっていました。この戦でヒルカニアにとどめを刺され、さらにそこへロムリカが横入りしてきた形です。ペルグにとってもヒルカニアにとっても、ロムリカ帝国は気に食わない相手です。
028「父上や召使たちは母上に優しかったそうだ」
イゼットの父は、三人目の妻であるセリンを殊に愛していました。そのため、他の妻以外の視線は優しかったのです。――イゼットが生まれるまでは。
028「感覚を開いた」
イゼットは普段、一部の感覚をシャットアウトしています。そうしないと、余計なものを見たり聞いたりしてしまうためです。そのままにしていると、うるさくて日常生活が送れなくなってしまいます。このことは以前、カマルに少し説明しています。
028「父親でさえ……」
愛する女性と自分の子どもですから、お父さんも最初はイゼットを愛そうとしていました。しかし、セリンと知り合うまで精霊や巫覡に縁がなかったために、わが子の奇妙な言動を受け入れ切れなかったのです。
028「イゼットひとりだと大変」
さりげなくヤバいフラグが立っています。
028「巫女姫」
アンダが察している通り、セリンはもともと一族の中で地位ある女性です。将来の族長候補と目されていました。
028「状況が違う」
ここでデミルは、イゼットの『素性』に気づきます。
029「自分本位かよ」
デミルは自分が一番です。アンダはとっくに気づいています。
029「本名」
やっとクルク族の本名の話に触れます。デミルは「よくないもの」扱いです。
029「精霊に誓いを立てる、神聖な戦い」
『マーレファ奇譚』『夜明けに捧ぐ鎮魂歌』も参照のこと。
029「罰を待つ罪人のようであり……」
アンダは典型的なクルク族戦士の気質を持っています。荒々しいくせに義理堅い、難しいお年頃です。
029「誓おう……」
ここから以下、呪文のような名乗りが続きます。アンダもルーも本名を名乗っているため、頭につける親の名も本名になっています。
029「彼女らしい朗らかな笑み」
アンダがイゼットに謝ったので、態度が少し軟化しました。
029「そういうまじない」
巫覡の術にしろ占いにしろ、スピリチュアルな世界では、名前は重要な意味を持ちます。

030-037「第四章 狂信者の歌」

030「傭兵の男にどつかれながら山越え」
メフルザードとイゼットが、リハビリがてら旅していた時のことです。スパルタなお師匠様でした。
030「めったにないこと」
精霊たちが特定の一人に声をかけることはほとんどありません。それだけ危険な状況であり、それだけイゼットの力が強かったのです。
031「岩の王」
カクヨム版タイトルについて。まんまカヤハンのことです。カヤハンはトルコ語の男性名で、「岩の王」という意味です。
031「珍しい装い」
文化の違いという都合上、すごい変な格好をしているように書かれていますが、要は帽子と上着とズボン。現代人が野外活動をするときの格好を想像するとわかりやすいです。
031「あー、やっぱりそういうふうに見えるのか。」
カヤハンはこういう人です(ばっさり)。
031「古王国が滅亡した原因」
そのものずばり『夜明けに…』の話です。
031「聖都に行けば」
イゼットの読みはあながち外れてもいません。『それ』を見つけ出すにはかなりの労力が必要ですが。
032「ヤームルダマージュ」
「雨の器」という意味です。メタな話、トルコ語を少しいじりました。
032「足の踏み場がないから」
誇張ではありません。マジです。
032「少年」
ルーはこれからも間違われまくります。一発で少女と見抜く人の方が珍しいのです。
032「いい顔されない」
神様の存在を科学実験で確かめるみたいなものですから、そりゃ非難ごうごうです。
032「変な声」
「うらめしや……」(違います)
033 冒頭
回想。アヤ・ルテ聖院襲撃事件。イゼットがおとりになった後のことです。
033「紫色の煙」
のちのイゼットやカヤハンの読み通り、例の荒野の誕生に関わる煙です。吸うな危険(多少は大丈夫ですが)。
034「「見ていた」としても」
実際、聖院を襲った集団の中にいた人物です。イゼットは彼を知りませんが、彼はイゼットを知っています。
034「薄い布」
これで風向きを知ろうという魂胆です。
034「ぼうっとしている」
真剣に観察をしているのです。そう見えないだけで。
035「名前」
馬に名前がつきました。正直に言うと、名前がないと作者が書きづらかったため名前をつけたのです。後、時々馬の存在を忘れかけるのを防止する意味合いもあります。効果は抜群です。
035「あのときと同じ」
アヤ・ルテ聖院でおとりになったときのことです。
035「最後までこのままで……」
聖都が近づいていることもあって、イゼットの心がぐらぐら揺れています。打ち明けるべきか隠し通すべきか、この段階ではまだ迷っています。
035「炎熱」
火事の記憶と痛みと、両方を指しています。
035「眉を吊り上げて」
イゼットが強がったり隠し事をしたりするときの言動を、ルーは少しずつわかってきています。
035「何事かを呟いて」
カヤハンはもともと独り言が多い人なんです。
035「屈辱の記憶」
月輪の石が砕けたうえ、イゼットを取り逃がしたことです。彼らにとっては一番の大失態でした。
035「どこか遠くで、炎が爆ぜた。」
二人が遭遇したときの状況を暗示しています。
036「子犬ちゃん」
皆さんお分かりかと思いますが、この人は回想に出てきた人と同一人物です。イゼットも彼女もお互いの顔を知っています。
036「臭い」
臭いのある毒だったようです。一般的な人間の嗅覚では拾えない類の臭いです。
034「……どこの言語でもないことばが聞こえる」
カヤハンがブツブツ言っています。彼が使っている言葉は、巫覡が使う呪文です。
036「光を感じて瞬きした」
昨夜ほど強くはなかったですが、目の前が光っています。
036「光を放つ短剣」
なにか塗ってあります。
036「並走していたルーの姿が後ろに流れた」
これまではルーのペースに合わせてきたイゼットとヘラールですが、非常事態なので本気で走ってます。馬術で言うところの襲歩です。
036「激しい語調で叫んで」
精霊たちがカヤハンにそそのかされて呼びかけられて、イゼットのもとへ集まってきています。
036「風が渦を巻き、人々の頭上で暴れる。」
精霊がここまで直接的に人への介入を行うのは珍しいことです。カヤハンのことばもですが、煙のせいで自分たちの身が危うかった、というのも理由のひとつです。
036「ルーがとっさに引き留める」
ルーも馬術に慣れてきました。慣れてきたという域を超えていますが。
036「カヤハンはデミルと似ている」
カヤハンは、いつも同じ調子だから何考えてるのかわからないだけだと思います。
037「ここを『見放した』かなあ」
カヤハンは、ふわーっとしながら物事の本質を見抜く人です。
037「左腕」
イゼットはもともと右利きですが、痛みが右から始まることが多いので、現在は左を積極的に使っています。
037「ラヴィも似たようなもの」
ちなみにラヴィは「太陽」という意味です。
037「隠してきたこと」
ルーの場合、『十の奉納』に関わる話です。誰かに話すときはいつも辛い。
037「本棚が壁の四隅を埋め尽くすこの部屋」
『夜明けに…』既読の方は、どこのことか想像してみてください。
037「こわもての神聖騎士団員」
現在の、アイセルの護衛です。
037「本を読むしか能のない自分」
加えて機密に触れることの多い立場なので、ファルシードは偉いおじさんたちから警戒されています。
037「本当は顔を見たくてしかたがない」
聖女が顔を見せていい異性は従士だけだといわれています。どこまで忠実に守られているかは別として。
037「従士」
イゼットはこの時点でほとんど死人扱いされていますが、アイセルだけはかたくなに生きていると言い張って、信用できる人間に探させています。

第二幕

038-045「第一章 まどろみの終わり」

038「壊れた調度品や壁を何度か蹴った」
怪しいものや人が隠れていないか探っています。
038「象の服着てるけど」
ガネーシュの民族衣装のことです。
038「左足を軸に……」
アンダの見た目は普通の子どもですが、蹴りの威力は半端ないです。
038「この辺一帯の空気が悪くて……」
第一幕第四章のアレです。
038「俺たちは、……調べなきゃいけない」
デミルたちが地元の人間と聖教の祭司から受けた依頼。それぞれ「このあたりの空気がおかしいから原因を調べられるだけ調べてほしい」「このあたりで怪しいことをしている人間がいるので追いかけて対処してほしい」というものでした。二つの依頼が奇妙に一致したのです。デミルたちにとっても意外なことでした。
038「均等な格子模様」
パズルゲームのマスのような。メタな話になりますが、作中でパズルというカタカナ語が使えないため、作者が描写に苦労したらしいです。
038「『石と月光の修行場』の文章がさらに曖昧になった感じ」
詩文はかなり回りくどい表現が使われています。理解させる気がないのでしょう。
039「自分をいじめてるわけじゃない」
信者が聞いたら怒りそうな言い回しですが、何も知らない人にはそう見えるのです。イゼットはあくまでそこをくみ取っただけです。彼も敬虔な信者の部類に入りますので、同胞をけなす気はまったくありません。
039「ルーの耳飾りを見て、一瞬目をみはった」
クルク族の銀細工は印象に残るので、過去一度でも彼らを見たことがある人はすぐに気づきます。
039「精霊たちは人工物より自然物を好む」
とはいえ、人工物も突き詰めれば原料は自然物なので、結局精霊はどこにでもいます。自然体に近いものの方が好きなことには違いありません。
039「今の聖女と、その従士を見たことがある」
この男性は、実はイゼットがかつて見た聖女の従士だと気づいています。
039「ヒルカニアの中部州」
雨がほとんど降らない地域です。二人が序盤に旅した西部州は、ちょこちょこ降ります。
039「旅のために勉強した医療の知識」
イゼットは、バリスの診療所にいる間に、彼から必要な知識を教わっていました。
040「彼らが医者や薬師を兼ねていることは珍しくない」
『夜明けに捧ぐ鎮魂歌』の頃くらいまでは、治癒が使える巫覡=医者という認識でした。宗教闘争末期~後に医学が進歩し、分業が進みました。
040「宿の主人は……目元を厳しく引き締めた」
この男性、医者の反応が予測できていたので、ルーがクルク族であることをあえて伏せていました。患者の前に立たせて逃げ道をふさごうという寸法でしたが、失敗しました。
040「阿婆擦れ」
擦れていて図々しく、品行が悪い人(主に女性)のこと。イゼットのお母さんは真逆な人です。イゼットの兄弟たちには、父親が入れ込んでいる異民族の女というだけで、そう見えたのでしょう。
041「夜はこんなに冷たかったのだと…」
ルーに対して抱く気持ちの変化に、イゼットが自覚しはじめたのがこのあたり。
041「すぐそばの扉を蹴破った。」
ベイザは格闘技の心得があります。
042「川」
アグニヤの集落の近くに年中枯れない川が流れています。
042「眉が濃くて、線は細くて、唇はふっくらしている」
このあたりにおける美女の基準。
042「もっと小さな子どもに多い病気」
この病気の症状等はフィクションです。
042「それがおぞましいことのように感じられた」
この時点でルーは、イゼットにかなり強い好意を抱いています。ただし恋愛未満。
042「親父はいまだに髪多いから、兄さんも禿げないよ」
この一家は禿げにくい遺伝子を持っているみたいです。
042「兄さんの悪い癖」
あるいは職業病。
043「周囲に甘ったるい空気を……」
リア充爆発しろとかもうお前ら結婚しろとか言われるやつ。
043「頼ってきた」
バリスは地元の人間の間では名医として知られていますが、その理由の一つは、異民族の人々を拒まずにきちんと診るからです。
044「言葉を止めた」
さらっとクルク族がいたのでびっくりしたそうです。
044「タリクの武装組織」
タリクはヒルカニアの都市です。かなり物騒なところです。
044「男の用事」
イゼットの『体質』の具合と身体能力を見るために、二人はよく手合わせをしていました。八割殺す気でいきます。
045「御身が危うくなった」
聖女にとって従士がいないというのは、自分に力がないと喧伝しているようなものです。イェルセリアの人間なら誰でもそれを知っています。聖都の人間は言わずもがな、です。