027.やっとめぐりあえたね

 歩いた道は、たとえるならば暗闇だった。
 恵まれてはいたと思う。食べる物にも、着る物にも、住む場所にも困らなかった。それはすべて、他の誰かが与えてくれたから。
 だが、その生活は空虚だった。
 偽りの笑顔を被り、偽りの玉座に在り続ける。そこに人としての心はなく、だが無感情にはなりきれず。湧き上がる欲望を押し殺して、文句なしの影の女王としてふるまい続けた。
 だが、本当は、いつも心のどこかで求めていた。
 真っ白な光。汚れなき王。自分とは対極の存在に焦がれていた。
 けれどそれは、傷しか生まないのだとあるとき気付いた。

 きっかけはなんだったか。もうすでに覚えていない。だがあるときから、目の前に突然今いる場所とは全く違う風景が現れることがあった。いつもそこには、二人がいた。
 男同士、女同士、男女。いろいろな組み合わせではあったが、いつも二人だった。
 時に手を取り合い、時にぶつかり合いながら進んでいく二人。時代も文化も違う世界を彼らは懸命に進んでいた。
 けれど、なぜか、最後に二人はいつも殺し合うのだ。

――それが運命なのだと、いつか気付いた。またその運命が自分に課せられたものだと。
 理解してしまった。自分は、自分が求める『光』に会ってはならないのだと。会えば殺し合うことになる。
 けれどやはり、求めてしまうのだ。

 影の女王はやがて、思いがけず、『光』に会うよう言われた。その『光』をおまえの手で消しされと。いよいよこのときが来た、と思った。
 けれど臆さなかった。既に決めていたのだ。そのような運命は自分の手で変えてやる、と。いずれ殺しあわねばならないとしても、どこかでその流れを捻じ曲げてやると。
 こうして長い旅をした。
 長い旅のすえ、ある夜に、焚火を囲む一行を発見する。目的地が同じらしい彼らに、そっと声をかけた。
 声をかけたとき、一人の少年と目が合った。
 彼女は、目をみはった。
 少年から光を感じた。彼女が求め続けてきた光を。

「あなたが、そうなのね」

 やっと会えた。
 この出会いの先に待ちうける物を知りながら、彼女は歓喜せずにいられなかった。