作品の裏話

名前の話をしよう。~ぼく冒編~

こんにちは、七海です。突然裏話的なものが書きたくなったので、書きます。

何がいいかなあと考えていたところ、そういえば名前の由来の話って、そんなにしてないよなあと気づいたので、今日のネタはこれです。

メインキャラクター編

前提として、ぼく冒の人たちはフィーリングでつけている名前が結構あります。

あと、記憶が曖昧です。

アニー・ロヴェルト

「アニー」というのは、昔考えていた小説の主人公の名前でした。その作品がお蔵入りになったので、こちらにスライドさせました。意味に重きを置いてはおらず、雰囲気で決めた名前です。

その作品は文庫本一冊程度の長編でした。学園要素のない冒険もので、そちらのアニーはトレジャーハンターさんでした。懐かしいですね。

「ロズヴェルト」はぼく冒の主人公となった際に付け足した姓です。英語じゃない感を出したかったので、あえて言いにくい音にしています。確か、Rooseveltあたりを変形させた気がします(曖昧)

フェイ・グリュースター

ちょっと気弱な男の子、というのは決まっていたので、柔らかそうな名前をつけたいと思っていました。なんかいい感じのないかな、と考えていたときに、予測変換で出てきたのが(!)フェイでした。綴りはおそらくFey。いや、わからん。

姓の方も、この短い名前に合う姓がないかな、と探し回っていたときに偶然見つけたものだったはず。それか、こちらも予測変換が元だったかも。とにかく、偶然が重なって生まれた名前だということは覚えています。

ロト

こちらも、昔考えていた作品からスライドさせた名前です。元ネタではアニーに振り回される街の兄ちゃんでした。今とそんなに変わりませんね。

ロトも意味よりは雰囲気重視で。短く重すぎない名前がいいな、と探し回った気がします。宝くじとか紋章とか勇者とか色々よぎりましたが、全部シカトしてこの名前を採用しました。

マリオン

どこまでをメインとカウントするか問題。一応、クレマンまではメイン扱いでいきます。

昔やってたゲームのヒロインの一人に、マリオンというすごく無茶苦茶やる魔女っ子がいたんです。それが印象に残っていたのか、魔女っ子=マリオンでしょ! というノリで即決しました。(ぼく冒本編時点では、子という年齢ではなくなっていますが……)

ゲームとの被りは気になりましたが、一度名前がハマると変えるのはとても難しいので、あきらめました。

余談ですが、マリオンは「マリー(Mary)」の派生・変形であり、「マリエット(Mariette)」と同系です。

エルフリーデ・スベン

上品かつ神秘的な名前を探していたところ、見つけたのがエルフリーデでした。名前の意味的にもすごく合っていて、テンションが上がったのを覚えています。愛称の「エルフィー」も、ちゃんとエルフリーデと同系の名前なんですよ。

「スベン(Sven)」はあとから付け足したものです。スカンジナビア語。シェルバ人の姓名は、北欧あたりのものを多く採用しています。
改めて調べたら「男、戦士」などの意味合いを含んでいるそうです。意外とゴツイですね。

クレマン・ウォード

事典やネットとにらめっこしながらつけた名前です。

「クレマン(Kleman?)」は「クレメンス」などと同系統の名前だそうです。なのでおそらく、意味合いは「慈悲深い」とかになりますね。

「ウォード(Ward)」は「守る、見張る」という意味を持ちます。一応、彼のお家柄を暗示しています。

サブキャラクター編

ヴェローネル

ハリス

フィーリングです。

リーヴァ・ジェフリー

ガイ・ジェフリー氏の娘さん、というのは最初から決まっていたので、姓は確定。

こう、軽やかな感じの女性名がつけたいなー! と探し回った結果の「リーヴァ(Riva)」です。フランス語の「川」。

フラン・アイビス

フェイ同様、柔らかそうな名前がいいと思い、「フラン」を採用。意味とかは特に確認しませんでした。

「アイビス(Ives)」は一応「蔓」という意味です。意味よりも語感重視です。

ヒューゴ

こちらもフィーリング。まだいない感じの名前がつけたかった。

白翼の隊

エレノア・ユーゼス

「エレノア」はフィーリング。

「ユーゼス」は完全に造語です。これまで使ってこなかった音を使いたくて、色々こねくり回しました。

コンラッド・フォスター

すごい体格がいいけど性格は穏やか、というイメージが最初からあったので、たくましさと優しさを同居させたような名前がつけたかったのです。

「コンラッド(Conrad)」は「猛々しい(勇敢な)指導者」という意味を持ちます。響きといい意味といい、ゴツさの象徴みたいなところがあります(偏見)。

「フォスター(Foster)」は「森林の管理者」という意味を持つフランス語の姓。こちらは優しさの象徴のつもりで採用しました。

ガイ・ジェフリー

「ガイ(Gay)」は「陽気な、快活な」という意味の男性名。彼の性格に合ってるということで、採用。

「ジェフリー(Jeffrey)」は人名事典から語感が良さそうなのを拾いました。

ギスラン・ルドル

元々、「ルドル」という姓だけ先に決まっていました。これは確かフィーリング。あるいは「ルルド(Lourdes)」のアナグラム。

何かの話を書く際に、「ギスラン(Ghislain)」という名前が決まりました。これも音重視。今まであまり使っていない音が使いたかった、という点ではユーゼス少将と近いものがあります。

あと、ぼちぼちお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、グランドル王国の初期イメージはフランスでした。なので、フランス人名をたくさん採用しています。

アレイシャ・リンフォード

フィーリング。

「アレイシャ」は最初「アリーシャ」にしたかったのですが、これだと某ゲームの重要人物とモロに被るので、少し響きを変えました。

「リンフォード(Linford)」の「リン(Lin-)」は「リンデンの木」という意味合いを含んでいるようですが、意味よりも音重視で選びました。リン入ってると綺麗ですよね。そう思うのは私だけでしょうか

そして私は「○○フォード」という名前が好きなようですね。(過去の事例:エルフォード(街)、イルフォード(家名))

ジルフィード

フィーリング。ジル、という愛称が先に決まっていた記憶があります。

そして「ジルフィード」というのはおそらく姓なのですが、彼のファースト・ネームは決めていません(何?)。

ヴァイシェル大陸・魔術師船団

エルフリーデの項でも書きましたが、シェルバ人の方々は北ヨーロッパの名前が多いです。アルヴィド、ロンヤなどがそうですね。

ロト、マリオン、セオドアの初期面子は例外です。あとヴィルマ(Vilma)もやや例外です(ヴィルヘルミナ(Wilhelmina)の変形)

ネサン、ユーリア

マリオンの師匠とその姉。この二人はおそらくフィーリングです。NathanとJuliaの変形と取れなくもない。とにかく英語じゃない響きがほしかったので、このあたりはかなり遊んだ記憶があります。

ワーテル

性悪な魔女さん。造語です。頭の音に今まであまり使ってない音が使いたい……ということで「わ」を選択し、そこから脳内で色々唱えてしっくりくるものに決めました。

魔女っぽい感じが出たと、個人的には思っています。

謎の二人組

ルナティア(アナスタシア)

ルナティアは「lunatic(ルナティック、狂人)」を少しもじりました。「狂人」の部分は本編でも言及しています。

「アナスタシア(Anastasia)」は、ロシアあたりでよく見る気がする女性名を採用。でも改めて見たらギリシア語起源と本に書いてあってびっくり。まあ、このあたりは諸説あるかもしれません。

オルトゥーズ

フィーリング人名、もっと言えば造語です。言いにくい名前なのはわざとです。個人的にレクシオ以来のクリティカルヒットだと思っています。

スミーリ家まわり

なんとなく察せると思うのですが、スミーリ家まわりは東欧やロシアあたりの名前を多く使っています。ソフィーヤ、イワン、ヤロスラーフなどですね。

ちなみに「ソーニャ」は「ソフィーヤ」の短縮形です。家族や身近な人たちは、このような短縮形や愛称を使い、基本的に正式名称で呼ばない――というのも、あのあたりの風習からとっています。

『学術都市の片隅から』

『学術都市~』に登場する人の名前のほとんどはフィーリングです。ルゼ、サリカ、シオンなど。

クレインおじいさんやナディアさんは、事典とにらめっこしてつけました。

『Ⅵ 魔術師たちの自由のために』に出てくる学生たちの名前は、事典やネットから勘で拾ったものがほとんどです。リュクレースは造語だった気がしますが……そのへんも記憶が曖昧です((

参考

『ヨーロッパ人名語源事典』(梅田 修、大修館書店)ほか