――女神は再び、人を選んだ。暗夜に向かうこの世界で。
夏が終わり、秋のはじめ。
騎士を目指して学院生活を送るステラ・イルフォードは、故あって教会にやってきた。
そして、神父を狙う殺人鬼に出くわした。
ステラと彼女の学友たちは、事件現場に居合わせたことをきっかけに、隠された神話を知る。
――世界を見守る偉大なる女神は、一時代に二人、心正しき人間を選ぶ。
そして選ばれた二人には強大な力が与えられる。人々は、彼らを『翼』と呼び、畏れ敬った――
新たな『翼』の誕生を阻もうとする人々が教会関係者を狙っていると推測したステラたちは、神父を守るために行動を起こすのだが……その先で待ち受けていたのは、予想だにしなかった展開であった。
「困ってるのはみな同じよ。俺だって、正直、頭痛がしてきそうだ」
「あんたが頭痛だけなら、あたしはそれに加えて胃が痛くなりそう」
これは、自覚の薄いまま神話の当事者となった少年少女の、青春と戦いの物語。